こんにちは。まめです。
今回は漫画「銀の匙」について紹介したいと思います。
ついに先月完結した作品で、全15巻です。
ボリューム的にもそこまで多くなく、読みやすい作品なので、今から始める人にもバッチリかと思います!
作品の概要

「銀の匙」は荒川弘さんの作品で2011年から週刊少年サンデーで連載が開始され、2020年2月に単行本としても完結しました。全15巻です。
荒川弘さんの他の作品としては「鋼の錬金術師」が一番有名な作品かと思います。
鋼の錬金術師はダークファンタジーな世界観でしたが、今回の「銀の匙」は北海道の農業高校が舞台となり、学生の青春と農業をテーマとした漫画です。
荒川さん自身が酪農家の出身で農業高校の卒業生ということもあり、農業高校や農業に関する描写はリアルで、農業について考えさせられる場面も多いです。
連載期間に対し、巻数が少ないのは、荒川さん自身の出産や家庭の事情等も重なったことで休載が続いたことが原因のようです。
僕は発売からずっとこの作品を追っていたので、休載になってしまうと先が気になって残念な気持ちになることも多かったですが、それだけ、先が気になる作品であり、無事完結できてとてもうれしかったです。
また本作とは別に「百姓貴族」というエッセイ漫画も描かれており、こちらは、本人のリアルな体験が漫画になっているので、「銀の匙」とはまた違った面白さがあり、本作を読んで、農業漫画の面白さを感じた方は「百姓貴族」も呼んでみると、とても楽しめるかと思います。
・銀の匙とは?
「銀の匙」というのは、欧米では「幸運をつかむ子供は銀のスプーンを加えて生まれる」、「初めての食事を銀のスプーンで食べると一生食べ物に困らない」という言い伝えがあるようで、出産祝いに銀のスプーンを送る文化があるようです。
また、そこから派生して、貴族の家柄・財産といった意味があるようです。
タイトルの意味について、作者から明言はされていませんが、作中にも学校の食堂の前に飾られています。
物語について
物語としては、農家出身ではない札幌出身の主人公「八軒」が親の言いなりのまま、進学校に進んでいた中、高校の受験に失敗し、学力競争と父親が嫌になり、それから逃れるため、全寮制の農業高校に特に夢もなく進学したところから始まります。
初めのうちは、特に夢もなく入学したせいもあってか、なかなか目標が見つからず、周りの友達はそれぞれ将来を考えていることに引け目を感じていましたが、様々な学友との交流や動物や作物の世話を通して、農業のすばらしさと苦悩を知ることで、少しづつ自分の夢を抱いていきます。
また、今まで全く農業に触れてこなかった主人公と農家出身で小さいころから農業の世界にいた学友とで、違う考え方を持っていることで、衝突することもありながら、お互いに協力しながら、良い影響を与えあうことで、登場人物がそれぞれ成長し、夢に向かっていく青春が描かれていきます。
他の漫画にはない舞台と奥深さ

まず、本作の目玉としては、「農業」がメインテーマにあることです。
少年漫画といえば、ワンピースや最近話題の鬼滅の刃などに代表されるバトル漫画やスラムダンクのようなスポーツ漫画がメジャーですが、農業をメインテーマに据えた作品は自分が知っている限りでは他にありません。
農業といえば、今の生活の中では必要不可欠なものですが、農業に関わっていない人にとっては、あまり実情がわからない部分ですよね。
主人公も農家出身ではないため、読者と同じ目線であり、初めての農業に触れ、農業の喜びや難しさ、苦悩を味わいながら成長していきます。
〈数多くの農業の中のテーマ〉
自分で育てて作った野菜や加工したチーズ、ベーコンなどを食べることの喜び
家畜として育ててきた動物を食べるという葛藤
経営が悪化した友人の農家が、廃業のために乳牛や馬を手放さなければならない苦悩など
特に家畜を食べるということは、かわいそうだという思いと今の人の生活の中で欠かせないものとなっているので、必要なものであるという思いがあります。
自分も普段は気にせずに食べていますが、そういった葛藤の中で育てられたものであると学ぶと、菜食主義の方の気持ちも少しわかるとともに、大切に食べなくてはいけないという思いにもなったりします。
このように、自分の実際の生活にも当てはまる葛藤が描かれていて、基本的にはコメディタッチで明るい漫画ですが、その中にはシリアスな現実の問題がちりばめられていて、奥深い漫画になっています。
学生一人ひとりの物語と青春
次に、「銀の匙」は農業漫画であるとともに、学生の青春漫画でもあります。
本作には農家出身の学友が数多く登場します
- 実家の農業を継ぐために頑張る人
- 実家の農業を継がず、自分の夢を追いかける人
- 実家が経営破綻してしまったが、また一から農業を始めようとする人
- 獣医を目指す
- チーズ作りを極める
- 新しく企業する人
など、一人ひとりに物語があり、その中で、それぞれの登場人物同士がお互いに励ましあい、葛藤しあいながら成長していく様が描かれているため、それぞれの成長が楽しみな漫画ですね。
農業を知りつつ、物語を楽しめる漫画
このように、農業を学びながら、物語を楽しめる漫画に仕上がっています。
バトル漫画やスポーツ漫画とは一味違った、のんびりとした自然の中、作物や動物に触れ合いながら、成長していく学生の青春を見ていくのもとても面白いですね!
また、すでに完結している作品であり、巻数もそこまで多くないので、新しく読み始めるものとしてはおすすめです。
ぜひ、農業の世界をのぞいてみましょう!